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東京工業大学 後期 2008年 解答解説 このページの閲覧数
#方程式・不等式 #数列
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東京工業大学 後期 2008年 第1問 (解答解説)

📝 問題

次の問に答えよ.

  1. 実数 が

    をみたすとしている.このとき であることを証明せよ.

  2. を 以上の整数とし, 個の実数 が

    および 個の不等式

    をみたしているならば,

    であることを証明せよ.

✏️ 解答解説

【解答】

問題の構成として,(1)は(2)のの時を証明する問題になっている. そこで,(2)を数学的帰納法により証明すれば(1)が含まれていることになるため,いきなり(2)を考える.

各不等式に式番号を与える.

\underline{のとき}

まず,は

であり,(式1)よりだから両辺で割って

である.

は

であり,まずとについてこの不等式を整理すると

である.さらに,(式1)よりだから,右側の不等式はさらに上から評価すると

ただし,(式5)よりであることを用いた.以上(式7),(式8)から

である.両辺で割って

であり,これは(式3)であるからのとき(式3)は成り立つ. ((1)の証明) (答)

\underline{\textbf{での成立を仮定}}

(式1),(式2)を仮定する. について.の時と同じく

が成り立つ.従ってこれら二つの不等式より

である.

ここで新しい数列を

と定めると,が(式1)を満たすからは

を満たす.さらに,(式13)より

である.以上(式15),(式17)から,数列は(式1),(式2)を満たしている. これと帰納法の仮定より,に対して(式3)が成り立つ.

ここに(式14)を代入して元のの式に戻すと

となり,数列はに対して(式3)を満たす. よって,でも題意は成立する.

以上から,数学的帰納法により任意のに対しは成立する. よって題意は示された.(答)

【解説】

不等式の証明問題で数学的帰納法により証明できるのだが,式変形は多少この手の不等式証明に慣れてないと難しいかもしれない.

とはいえ主張自体は直感的にはそれっぽいように思えるので,それをうまく数式化していければ良い. すごく大雑把にいうと単調増加の重みが与えられた時,重み付けされた二つの数列とが大小を保つならば 元の数列,も大小を保つ,ということである.

ちなみに問題では数列,の二つが与えられているが,

で差分を導入すれば

を示す問題になる. こちらの方が数列が一つ消える分扱いが簡単になるだろう. の時は

を示せば良い.まずよりが従い,より

となり示される.

(2)の数学的帰納法の証明も

を仮定したとき,およびから

とすれば,およびに対して仮定が使える.

この形になっていると,仮定である

について少しイメージしやすい.から順に書き出してみると

となる.一つ目の式からが従い,二つ目の式から

が従う.これは平面に図示すると図1の斜線部の領域である. から境界の直線の傾きはよりも大きく,よってとおくと

となる.(1)はこのように図形的にも解釈できる.

$z_1z_2$平面における,$z_1+z_2$のとりうる領域.

図 1: 平面における,のとりうる領域.

三つ目の式は

となる.以下同様にの下限が,それ以下のたちによって規定される. したがって,これをから順に下側へと伝搬していくと,結局がで評価できるだろうという推測がつく. 実際やってみよう.

まず,与えられている条件式を以下のように書き換える.

簡単のため大文字をの総和として定義する

とこの条件式はに対して

となる.したがって,から条件式を使うと

と,を除去できる.したがって,この評価を繰り返すとに対して

となり,およびよりこれは以上であって,題意は示された. このように本問は帰納法を使わずとも証明できる.

証明において核心となる(式44)はアーベルの部分和分法(級数変形法)と呼ばれ,しばしば現れる古くから知られた手法である. これは色々な変形が知られているのだが,数列とが与えられた時

のように数列の積の和を,「数列の和」と「数列の差」の積の和に変形する公式である. 式の形を見ればわかるように,これは部分積分法の離散列版とみなすことができる.

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