東京工業大学 後期 2008年 第1問 (解答解説)
次の問に答えよ.
-
実数
が をみたすとしている.このとき
であることを証明せよ. -
を 以上の整数とし, 個の実数 がおよび
個の不等式をみたしているならば,
であることを証明せよ.
【解答】
問題の構成として,(1)は(2)の
各不等式に式番号を与える.
\underline{
まず,
であり,(式1)より
である.
であり,まず
である.さらに,(式1)より
ただし,(式5)より
である.両辺
であり,これは(式3)であるから
\underline{\textbf{
が成り立つ.従ってこれら二つの不等式より
である.
ここで新しい数列
と定めると,
を満たす.さらに,(式13)より
である.以上(式15),(式17)から,数列
ここに(式14)を代入して元の
となり,数列
以上から,数学的帰納法により任意の
【解説】
不等式の証明問題で数学的帰納法により証明できるのだが,式変形は多少この手の不等式証明に慣れてないと難しいかもしれない.
とはいえ主張自体は直感的にはそれっぽいように思えるので,それをうまく数式化していければ良い.
すごく大雑把にいうと単調増加の重み
ちなみに問題では数列
で差分を導入すれば
を示す問題になる.
こちらの方が数列が一つ消える分扱いが簡単になるだろう.
を示せば良い.まず
となり示される.
(2)の数学的帰納法の証明も
を仮定したとき,
とすれば,
この形になっていると,仮定である
について少しイメージしやすい.
となる.一つ目の式から
が従う.これは
となる.(1)はこのように図形的にも解釈できる.
図 1:
三つ目の式は
となる.以下同様に
まず,与えられている条件式を以下のように書き換える.
簡単のため大文字
とこの条件式は
となる.したがって,
と,
となり,
証明において核心となる(式44)はアーベルの部分和分法(級数変形法)と呼ばれ,しばしば現れる古くから知られた手法である.
これは色々な変形が知られているのだが,数列
のように数列の積の和を,「数列の和」と「数列の差」の積の和に変形する公式である. 式の形を見ればわかるように,これは部分積分法の離散列版とみなすことができる.