【解答】
とおく.よりだから,
である.
となる を境に の符号が変わるため場合分けを行うと,
と表せる.ここで,
だから,はの単調減少関数であり,(式2)よりはで最小値を取る.
以下この場合を調べる.
を の変数に関する原始関数とすると,はを用いて
と表せる.
ゆえ,はこれをについて積分して,積分定数は一般にとおいてよく,
を得る.これを(式7)に代入して
となる.一階微分を計算すると
を得る.従って の増減表は表1となる.
表 1: の増減表
したがって, は で最小値をとる.この時の最小値は(式13)に代入して
である.(答)
【解説】
典型的な積分の問題である.特にこのような絶対値およびパラメータ付きの定積分の最小値を求める問題は頻出であり,以下のようなパターンはよく知られているところだ.
ただし積分区間内で絶対値の中身は一回だけ符号が入れ替わるとする.
これらはもう答えがどうなるかというところまで簡単にわかってしまうので以下一つづつ解説しよう.
まずこれらの場合はいずれも,本問と同様のロジックでで最小値を取る.従ってその区間で考える.
また,の原始関数をとすると,,はを用いて
とかける.ただし,,はそれぞれ
を満たすに依存する数である.およびをで一階微分して
を得る.従って,およびが最小になるようなは, から
をみたさなければならない.
これを図形的に解釈すると,
については,がちょうど区間の中点での関数と等しい時に面積が最小になる,ということである.
これは直感的にも納得できる.
このように関数の具体的な形がわからなくても,定積分の最小値を与えるは求まる,というわけである.
具体的な関数の計算を避けることで,計算ミスを避けながら素早く解くことができる.
さて,翻ってこの問題では,上のやとは異なり,原始関数を直接求めることで最小値を求めた.
この問題の構造をより明確に理解するため,極力原始関数を求めずに抽象的なまま式展開を進めよう.
そもそもなぜを求めないといけなくなったかといえば,のに関する原始関数を求めたのち,について微分するという変数の取り替えがあったからだった.
やでは元々がのみの関数として分離されていたので簡単だったのだ.
これを防ぐために,最初からをとで明示的に分離した次のような形を考える.
ただし,
とおいた.このようにをに依存する部分とに依存する部分に分離して書けば,
(式7)のはおよびの原始関数,を用いて
と表せる.これは明確にで微分することができて,
を得る.ただし,三行目でとの関係 ((式34))を利用した.
ここから,が極小となるにはすなわち
となることが必要であることがわかる.
これは図形的に考えると,のの面積をちょうど半分に分割するようながいくつか,ということに他ならない.
かくしてやと同様に,図形的な解釈にまで持ち込むことができるわけである.
残念ながらなので図形的に解釈できたからと言って解けるわけではないものの,この手の問題の背景を掴むことができる.
また,(式41)までわかればから容易にを導くことができる.
この時の最小値は,(式36)に(式41)を代入すればに関する項が全て消えて
となる.この方法であればほぼ具体的な計算をせずに求められるため,計算ミスのおそれも少ないだろう.