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gromacs

古典分子動力学の計算ソフトであるgromacsをインストールする.intelは利用せずに通常のgccとown buildのFFTを利用する場合について記述する.ちなみにmacの場合はhomebrewでインストールが可能になっているのでこれを利用するのも手ではある.m1機でもintel機でもインストールできる.

brew install gromacs

ただし,これだとmpi版は入らないため利用する場合は別途インストールする必要がある.

ソースのダウンロード

ソースコードは公式ページからダウンロードできる.2023/6現在の最新版は2023.1だが,これが入らなければ一つ前の2022.4なども試してみると良い.私の場合はとあるマシンに2023.1は入らなかったが2022.4はインストールできたという場合があった.

事前準備

インストールに最低限必要なものはcmakeとC/C++コンパイラーだ.今回は前述の通りgccコンパイラを利用する.別途fftwやmklを用意してリンクすることも可能だが,その手続きについてはまた別の記事に譲り,今回はgccコンパイラだけ使ってビルドする.

インストール

ダウンロードしたソースを解凍し,ビルド用のディレクトリ(今回はbuild)を作成する.

tar xfz gromacs-2022.4.tar.gz
cd gromacs-2022.4
mkdir build # 新しくディレクトリを作成(公式推奨)
cd build

cmakeの時のオプションはいくつかあるが,ここでは最低限必要なもののみをピックアップする.

  • -DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON:fftも一緒に作成する.
  • -DGMX_MPI=ON:mpi版をビルドするときに利用.
  • -DCMAKE_C_COMPILER:Cコンパイラの指定.CC環境変数でも良い.
  • -DCMAKE_CXX_COMPILER:C++コンパイラの指定.CXX環境変数でも良い.
  • -DCMAKE_INSTALL_PREFIX:インストール場所の指定.sudo権限がない場合は適当に変更しよう.
  • -DGMX_OPENMP:openMPの利用.デフォルトでオンになっているので通常は省いて大丈夫.

まずは非mpi版をインストールする.openMPはデフォルトでオンになっているので追加のオプションは必要ない.

cmake .. -DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=bin/
make
make check 
make install

インストールは数十分程度.FFTを入れないならもっと早いと思う.インストール後にオプションで環境設定ができるコードがbin/GMXRCにあり,走らせておくと良い.

source bin/GMXRC

非mpi版のインストールが成功したら次にmpi版のインストールを実行する.上と同じbuildディレクトリからcmakeを実行する.mpiをオンにするとインストールされるコードがgmx_mpiのように_mpiがつき,通常版と区別されるという仕組みになっている.

cmake .. -DGMX_BUILD_OWN_FFTW=ON -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=bin/ -DGMX_MPI=ON
make
make check 
make install

以上でインストールは終了だ.

参考文献

公式のインストールガイド Gromacs 2022をmacOS / Linux上にインストール Gromacs 2021.4 Intel20 archlinux GROMACS