Arcteryx Gamma MXフーディ レビュー
はじめに
最近Patagoniaのフリースを買い漁っていたのに引き続き,Arcteryx製品もいくつか購入したので紹介していく.トップバッターはソフトシェルのガンマMX フーディである.
ガンマMX 概要
ガンマファミリーはArcteryxのソフト製品群で,ハードシェルのアルファ,ベータと合わせてアークテリクスのロングセラーの一つである.2025年冬シーズンのガンマファミリーのラインナップは以下の通り.
| 商品名 | 定価 | 概要 |
|---|---|---|
| ガンマ ジャケット | 47,300 | フードなしジャケット |
| ガンマ フーディ | 50,600 | フード付きジャケット |
| ガンマMX ジャケット | 59,400 | 裏地にフリース素材がついた暖かいGamma,フードなしジャケット |
| ガンマMX フーディ | 68,200 | 裏地にフリース素材がついた暖かいGamma,フード付きジャケット |
私は15年くらい前に買ったGamma LT(多分現行のGammaと同じ位置付けの商品)をいまだに使っており,今回はそこからのアップグレードになる.ちなみに当時並行輸入で1万円くらいで買っていた記憶があり,値上げと円安のダブルパンチで値段がとんでもないことになっているのを見て時代の流れを感じた...
Gamma MXは裏地にフリース素材を貼り付けて保温性を備えたソフトシェルという特殊な製品である.ソフトシェルだからハードシェルほどしっかり防水するわけでもなく,かといって化繊ジャケットほど暖かいわけでもないのですごく中途半端なのだが,それが逆に色々な用途に広く使えて良い.特に裏地にフリースを貼ることでレイヤリングを簡素化できるのは大きな強みだ.
公式サイトから抽出した仕様は以下の通り.比較のために通常のGamma フーディのものも記載した.
| # | Gamma MX フーディ | Gamma フーディ |
|---|---|---|
| 重さ | 585g | 465g |
| フィット | レギュラーフィット | レギュラーフィット |
| 材質 | フリースの裏地、233gsm、DWR FC0 - ナイロン84%、ポリウレタン16%、裏地:ポリエステル100% | ボディ:リサイクルナイロン二重織り ソリッド、186gsm - ナイロン88%、ポリウレタン12%裏地:ワープニット メッシュ - ポリエステル100% |
| 表生地 | Fortius™ 2.0 ソフトシェル生地(60デニール 合成素材 ストレッチ ソフトシェル ナイロン) | - (サイトには記載なし) |
| ポケット | ジッパー付きハンドポケット2つ,ジッパー付き胸ポケット 2つ | ジッパー付きハンドポケット2つ,ジッパー付き胸ポケット2つ |
| 裏地 | リサイクルポリエステル 起毛 ポケット メッシュ、158gsm - リサイクルポリエステル100% |
開封
古いGamma LTでサイズ感が大体わかっていたので,試着もせずネットでMサイズを購入.色は黒を選択した.自分の色選びの基準としては街着としても使うなら落ち着いた色,山でしか使わないものは視認性を上げるためにカラフルなものを選択するようにしている.Gamma MXは下界でも使っていけるかなという目論見で黒を選択した.

古いGamma LTとの比較.青い方が古いGamma LT.見た目の違いはそんなになく,長年のGammaスタイルが継承されているのを感じる.

レギュラーフィットとして一般的なサイズ感で,内側にAtomやProtonを着るような使い方もできる.アークテリクスはだいたい化繊ジャケットよりソフトシェルのほうが少し大きく作られていて,レイヤリングしても違和感ないことが多い.表面にはPFASフリーのDWR(耐久撥水)加工が施されており,多少の雨は防げる.

胸の部分には左右に結構大きめの胸ポケットが配置されている.私のスマホ(iPhone16 pro)も余裕で入る大きさで,生地がしっかりしていて重いものを入れても形がズレにくいので使いやすく,重宝している.

左右の腰の位置のポケットも十分な大きさがある.前面に合計4つのポケットがあるので,収納にこまることはないだろう.

フードはいつものアークテリクス仕様でヘルメット対応なので大きいが,チンガードがかなりしっかりしていて首元の風はかなり防げる.

内側にはドローコードがついていてチンガードを調整できる.ただし,内側に配置してしまったために非常に操作しにくくなっており,一回ジップを下ろさないと調整できない.別途紹介するベータSLのように外側に配置してくれていれば...と思ってしまう.

袖口は半分だけヘム構造になっており,風の侵入を防いでくれる.

Gamma MXの特徴でもある裏側のフリース素材.思っていたより薄めだが,これがあるだけでも大きく違う.背中の部分は起毛したような素材になっていて,お腹側の部分はメッシュ的な素材が入っている.どちらも非常に滑らかで着心地が良い.このおかげでシェルらしからぬ着心地の良さを実現していると思う.

裾には左右にドローコートが配置されており,ここも絞れるようになっていて風の侵入を防げる.

感想
製品の特性上保温性は限定的なので,真冬で本品だけに頼る使い方は良くない.一方でソフトシェルだけあって通常の化繊ジャケットよりも防風性が高いので,風が強い場面での体感気温が下がりにくいのが大きなメリットだと感じた.なので使い方としては,そこまで寒くない春先や秋口にはベースレイヤーの上に直接Gamma MX,より寒い冬には内側にフリースなどを着て,外に本品を着用するようなスタイルが登山でも日常使いでも良さそうだ.
登山で使う場合とにかく重くて嵩張る(600g弱ある,シェルジャケットだとAtomは約360g,Protonは410g)ため,これを脱ぐよりは内側を脱いだりして調整するスタイルの方が負荷が少ないと感じた.ソフトシェルだけあって耐摩耗性や防水性が高いので,外側に着てガシガシ使っていけるのは大きなメリットだ.当たり前だが夏に使うには暑すぎるので,春秋のアルプスや冬の低山で使うような用途がちょうど良いと思う.
両胸のポケットは開放すると簡易的なベンチレーションとしても機能するが,ここは両脇にも直接ジッパーをつけてくれるとオーバーヒートを抑制できて良かった.
裏地にフリース素材がついたもう一つの利点として,ソフトシェルとしては非常に着心地がよく出来上がっている.流石に化繊ジャケットには叶わないが,裏側が滑らかなので長時間着用していても違和感が全然ない.ソフトシェル自体のストレッチも結構効いていて,古いGamma LTがあまり伸びないのと比べると雲泥の差だ.特に長い時間着るアイテムでは大事な部分なので,ここは高く評価したい.
下界でも使っているのでその感想も書いておきたい.今年はPatagoniaのR1サーマルをベースレイヤーとして着て,アウターにGamma MXを着用してよく出かけている.東京の冬だったら12月の中旬くらいまでは問題ない.雪のふる12月の長野にもこの組み合わせで旅行に行ってきたがさすがに少し寒く感じた.東京でも12月の末に0度を下回ることになり,こうなってくると街着としては流石に寒い.日常使いなど運動量がない場面では5度くらいまで,運動量がある場面では0度くらいまでと考えておくと良いだろう.これより低い温度に対応するにはさらにミッドレイヤーを追加すれば良い.