pytorchをC++から使う（libtorch）：環境設定
pythonで機械学習を行うpytorchやtensorflowは，C++からも利用できる．今回はpytorchに的を絞ってC++で使うための環境構築を行う．pythonの場合はcondaで簡単にインストールできるが，C++版は少し大変だったのでその辺をメモしておきたい．今回の設定はm1 mac，intel mac，Linuxマシンで試していずれも同一手順で大丈夫だった．
公式ページからのインストール（失敗）
まずは公式の配布コードを試したが，私の場合はこれでは動かなかった．．． 何か間違っているのだと思うが試したことを書いておく． 公式のインストールガイドではまずこれを試せということだ．公式ページから，LanguageでC++/Javaを選択すると，コードのダウンロードが可能だ．追加のインストール作業は必要ない．C++からインクルードするヘッダファイルはincludeディレクトリ以下に存在し，特にtorch/script.hがメインになっているようだ．インストールガイドではtorch/torch.hとなっているがこれは古くtorch/script.hが正しいと思う（実際torch/script.hは存在しない）．また，libディレクトリがshared librariesを含んでいる．
libtorch/
bin/
include/
lib/
share/
以下でちゃんと動くかどうかのテストを実施して，これがちゃんと動くようならそれで問題ないと思う．新しくディレクトリを掘って，C++のコード（example.cpp）とCMakeLists.txtを用意する．別にcmakeは使わなくても良いが公式は推奨している．
.
├── example.cpp
├── CMakeLists.txt
公式でMWEとして提示されているのは以下のようなpytorchのtensorを表示するコードだ．
#include <torch/script.h>
#include <iostream>
int main() {
torch::Tensor tensor = torch::rand({2, 3});
std::cout << tensor << std::endl;
}
このコードをcmakeを使ってビルドする．C++17が必要なのでその点に注意が必要．
cmake_minimum_required(VERSION 3.18 FATAL_ERROR)
project(example)
find_package(Torch REQUIRED)
set(CMAKE_CXX_FLAGS "${CMAKE_CXX_FLAGS} ${TORCH_CXX_FLAGS}")
add_executable(example-app example.cpp)
target_link_libraries(example "${TORCH_LIBRARIES}")
set_property(TARGET example PROPERTY CXX_STANDARD 17)
あとは通常通りcmakeでビルドする．コンパイル時にダウンロードしたlibtorchのディレクトリにpathを通す．パスはCMakeLists.txtでlist(APPEND CMAKE_PREFIX_PATH /absolute/path/to/libtorch )として追加しても良い．
# ビルド用ディレクトリの作成．
mkdir build
cd build
cmake .. -DCMAKE_PREFIX_PATH=/absolute/path/to/libtorch
make
これでできたexampleファイルを実行して以下のようにtensorが表示されれば成功だが，自分の場合はmakeで引っかかってしまいこの方法では成功しなかった．
./example-app
0.2063 0.6593 0.0866
0.0796 0.5841 0.1569
[ Variable[CPUFloatType]{2,3} ]
libtorchのビルド
しょうがないのでlibtorchのビルドにトライすることにした．githubのdocsページにCmakeを使ってlibtorchをビルドする方法が書いてあるのでこれに従った．ありがたいことにこれでうまく行った．
git clone -b main --recurse-submodule https://github.com/pytorch/pytorch.git
mkdir pytorch-build
cd pytorch-build
cmake -DBUILD_SHARED_LIBS:BOOL=ON -DCMAKE_BUILD_TYPE:STRING=Release -DPYTHON_EXECUTABLE:PATH=`which python3` -DCMAKE_INSTALL_PREFIX:PATH=../pytorch-install ../pytorch
cmake --build . --target install
この方法だとpytorch-installにinclude他のファイルがインストールされる．こちらのtorch/script.hを用いて前述のexampleをコンパイルするとうまく行った．
参考文献
M1 MacでPytorchのc++版、libtorchをインストールして実行する LibTorch(PyTorch C++API)の使い方 PyTorch C++（LibTorch）環境構築